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​粉引のお話

山口陶工房と山口晋平の白い器は、「粉引(こひき)」という技法で作っています。そのやわらかな白色は、使い込む中で変化していくもの。

粉引の器について、ご参考までにこのページでご紹介いたします​。

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粉引とは?

​粉引とは、白い焼物を作る技法のこと。白い器のすべてが粉引というわけではありませんが、山口陶工房と山口晋平の工房で作っている商品に関しては、全体が白い器は「粉引の器」です。

焼物には、大きく分けて陶器と磁器の2つがあります。

陶器を作るさまざまな技法のうちの1つが、粉引。その始まりは朝鮮半島から伝わった白い器でした。安土桃山時代頃までに茶文化の浸透と一緒に日本で定着し、各地で作られるようになりました。陶器の中でも粉引は繊細で、使えば使うほどその痕跡が残りやすい焼き物です。しかし、日本の歴史の中ではその性質こそが好まれたのだとか。欠けや割れ、汚れでさえも、来歴を豊かにする要素として大切にされてきました。

注意事項
​ご利用いただく上での注意

1. 割れや欠け

洗浄時や、何かにぶつけたり、落としたりした場合の割れや欠けにご注意ください。

なお、一般のご家庭では磁器をお使いであることが多いと思います。山口陶工房の器は陶器です。磁器は、陶器と比べて固く、丈夫であり、陶器と磁器をぶつければ、陶器が負けます。食器洗い時や収納時に、陶器と磁器を混ぜてお使いの場合にはご注意ください。

 ▶︎ 小さな欠けであれば、紙ヤスリなどをかけて尖った部分をなくせばそのままお使いいただくことができます。

 ▶︎ 大きな欠けや割れの場合は、金継ぎに挑戦するのも良いかと思います。

2. 色味の変化

粉引は、陶器の中でも吸水性が高い焼物です。水分や油分が内側の層に入り込み、特に油分や色素は定着してシミになることがあります。水気だけであれば、乾くと蒸発して消えます。

​ ▶︎ 色味の変化や汚れを防ぐには、使い始めに「目止め」をお試しください。

​ ▶︎ 器に料理を乗せたまま長時間放置すると、シミや匂いが残りやすくなります。​

3. カビに注意

粉引は、他の陶器に比べて乾燥に時間がかかります。表面を布巾で拭っても、内部に水分が残っていることがあります。そのまま収納するとシミやカビの原因になってしまいます。

​ ▶︎ 通気の良いところで、しっかりと乾燥させてから食器棚へしまってください。

 

4. 食洗機のご利用

器を長くお使いいただくためには、食洗機の常用はおすすめできません。食洗機は、勢いよく水を当てて食器の汚れを落とすものです。陶器の場合、水圧で負荷をかけ続けることで、器の表面が少しずつ傷ついていく可能性が高いです。また、粉引のふちは、何かにぶつけることで欠けたり、表層の化粧がはがれたりしやすい構造になっています。食洗機のカゴにはどうしても、ふちが当たることになるのでご注意ください。

5. レンジやオーブンでのご利用

​粉引に関してはお勧めできません。

目止め

目止め

目止めとは、食材が器の中まで染み込むのを防ぐために、器の表面をコーティングする作業です。

​シミや匂いがつくのを軽減します。

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流水に数十秒さらして水の​シミが入った粉引の器

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粉引の​3層構造

通常、焼物を作るときには粘土の上に釉薬(ゆうやく)をかける、という2層構造が用いられます。

しかし粉引の場合は、これが粘土、白化粧、釉薬、という順の3層構造になっています。

​裏面は、器によって釉薬や化粧がかかっていたり、いなかったりします。

陶器の表面を覆う釉薬の層には、目に見えないほどの小さな穴がたくさんあります。水分や油分がこの穴から内部に入り込み、シミになります。目止めによってこの穴にフタをすると、シミや変色を予防したり、軽減したりすることができます。目止めには、米の研ぎ汁を使うのが一般的です。

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​↑ 生米を入れて、フライパンで煮沸しているところ

目止めの手順

【タイミング】

ご購入後、使い始める前に行ってください。

効果の持続期間は、使い方によってまちまちです。

【用意するもの】

​器が入る大きさの鍋やフライパン、米の研ぎ汁、コンロ

【目止めのやり方】

1. 鍋/フライパンに、器を入れ、かぶるくらいの米の研ぎ汁を注ぎます。
 タイミングよく研ぎ汁がなければ、生米や炊いたご飯で。左の写真は沸かし始めなので湯が透明に近いですが、しっかりと効果を得るには白濁するくらいの量の米を使ってください。

2. ①を火にかけて、弱火で20分ほど煮沸します。ぐつぐつさせて器がぶつからないよう注意してください。

3. 火を止めて、そのまま冷めるまで置いておきます。

4. すっかり冷めたら器を取り出し、表面のぬめりを水で洗い流します。洗剤は使わなくて構いませんが、ぬめりが強いのでスポンジでやさしくなでると洗いやすいと思います。

5. 乾燥させて、終わり。
​ 目止め後の器は特に、水分が染み渡った状態です。カビを防ぐために、通常時よりもしっかりと乾燥させることをおすすめします。

​目止め:よくある疑問

陶器のワークショップ

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Q. 器が​おさまる鍋がない時は?

器が浸かる深さがあれば、フライパンでも構いません。

火にかけられるものがなければ、タライやバケツに器を入れ、温めた米の研ぎ汁を注いでください。冷めるまでそのまま放置してから取り出し、洗って乾かします。

Q. 米の研ぎ汁が用意できない場合はどうすればいい?

生米や炊いたご飯、もしくは小麦粉や片栗粉でも、同じくデンプン質の溶液が作れるので代用可能なようです。

​いずれも、お湯が白濁するくらいの量を使うようにします。

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Q. 目止めは絶対必要?

必ずしも必要ではありません。

使用に伴う変化が避けられないのが粉引の器ですが、個性としてお愉しみいただければと思います。

 

簡易な方法として、使用直前に数分間、水に浸けおきすることで食材の染み込みを軽減することもできます。

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